編集後記


臨床評価 1999; 27(2): 439より

ICHの合意によりわが国の治験を取り巻く環境は一変した。ICH-GCPに基づく新GCPの施行により被験者の権利、安全性、 福祉が重視され、同時に治験の質の保証をするための方策も求められるようになった。これらの変化については米国の基準 をglobalstandardと称して他国に持ち込むのはけしからんといったやや感情的な意見から、全面的にこれを支持する意見まで さまざまである。

わが国の治験の質においても、量あるいはスピードにおいても米国・欧州並のレベルにまで引き上げるには、整備しなければ ならないことはソフト、ハード両面で山積している。このような中で「日本,米国,欧州3極における治験状況とその支援体制に ついて」という座談会が開かれたことは時宜を得たもので、その内容も米国を中心に米欧の状況が多岐にわたって述べられている。

また、「米国における臨床治験の状況と治験コーディネーターの業務の現状調査視察報告書」では日本心臓血圧研究振興会 の行った米国の臨床試験体制の視察と研修の成果が要領よくまとめられている。ここではしばしば用いられる用語の解説から 始まり、治験コーディネーターの役割と業務、治験審査委員会、被験者の募集、インフォームド・コンセント、モニタリングと監査 等々、およそ治験にかかわる重要事項の多くが実際の文書の例示と共に詳細に述べられている。米国の治験状況を知るよすが となると思われる。この他にも関連資料が掲載されており、本号は治験に関する貴重な情報源になるであろう。

さて、「臨床評価」の本号は欧州の製薬企業団体の有志の集まりであるClinical Research Forumの協賛により、従来より広く 配布される。欧州の製薬企業から見るとわが国の治験に関する体制整備は遅れており、この結果治験の進行が遅く、彼らは 少々苛立っているというのが実状であろう。Clinical Research Forumはこのことを憂慮し、本誌を通じて少しでも状況の改善に 貢献することを期待している。本号の座談会はじめ、各資料はこれから治験体制を整備しようとしている施設の関係者にとっては 参考になるものと思われ、従来の「臨床評価」の役割である公正な治験結果の報告とは異なる、新しい方向性を見ること ができそうである。今後、日本の治験に関する状況がどれくらい改善するか楽しみである。(景山 茂)

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VOL.27, No.2, Dec.1999「日本,米国,欧州3極における治験状況とその支援体制」目次へ
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