編集後記


臨床評価 1977; 5(3): 707より

はやいもので1巻1号を発刊以来満5年になり、一区切りというところである。発刊の辞をみると”数年の熟慮と合議の末の刊行”と書いてあるから conceptionの時機から考えれば、もはや10年になる。編集子の一員として名を連ねてはいるが、編集という仕事にどれだけ参加したかを考えて みると、私自身は内心忸怩たるものがあるが、雑誌の成長は順調である。

無効であったり、副作用が多かったりして発表されなかった薬効評価の論文も、多少の抵抗はあったものの絶えずいくつか収載されており、 この点でも本誌の性格は歪められていない。そのほかに総説と資料に本誌の特徴が現れ出していると考えるがいかがであろうか。病態あるいは 疾患単位で、薬効評価をまとめたこの総説は、臨床治験を始める際の必読の手引論文となっていると信じている。

同一診断名の患者が有する特性の多様性、不確定性にもかかわらず、ある治療行為を行わねばならない臨床医学の宿命の解決を、推計学的 な方法に求めて、今日も多くの薬効評価が行われているが、得られた成績がきめ細かく臨床の場に還元されるのは、いつであろうか。その日が 遠くないと信じることが私達の仕事に対する精神的な支えである。(N. S.)

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